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イエロー
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アイコン 衝撃の話題作。
―差別される日本人―
表紙 イエロー
日本人はイギリス人が好きです。
でも、イギリス人は日本人が嫌いです。

 ロンドンの金融街(シティ)で働く著者が、
自らの体験を通して、人種差別の背景にある
戦争の負のイメージを考察し、
日本人の誇りと国際性を問う
ベストセラー!

 イエロー
 渡辺幸一著
 定価(本体1500円+税)
 全254ページ・四六判
 新聞書評を見る▼

目次(全七章)

第一章 金融街(シティ)に生きる
  1. イギリスのしたたかさ
  2. 三十八才で年収八十五億円
  3. 移住を決意した理由
  4. 立ち消えになった昇格
  5. 排他的なシティの壁
  6. 集団移籍(パッケージ)
  7. 顧客の奪い合い
  8. 対立深まる
  9. 「理屈の国」イギリス
  10. 休暇が取れない
  11. 労働許可証と永住査証
  12. ビザ取得
  13. 企業合併
  14. 一方的な解雇通告
  15. シティ流処世術
  16. 四十五才・日本人失業者
第二章 日本人差別の実態
  1. 死語ではないJAP(ジャップ)
  2. イエロー
  3. 少数民族同士
  4. 米英の差別感覚の違い
  5. イギリス人の本音
  6. 駐在員夫人をカモにする
  7. 釣銭をめぐるトラブル
  8. 藤原正彦氏のエッセイを読んで
  9. スティーブン・ローレンス事件
  10. パキスタン人リッキィーの場合
  11. ユダヤ人アンの場合
第三章 アイデンティティーの喪失と回復
  1. 私は何者?
  2. 力道山の写真
  3. 国家をつきつけられた時
  4. イギリス崇拝症候群
  5. イギリスで短歌を書く
  6. 書く勇気をくれた小林勝氏のこと
  7. 英語の短歌を書く理由

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第四章 イギリス人の考える日本の戦後半世紀
  1. 自衛隊は軍隊か
  2. 凱旋パレード
  3. 「日本人異質論」
  4. 日本を非難する元捕虜たち
  5. 天皇訪英
  6. イギリス人の変化
  7. 在英邦人の反発
  8. イギリス人にとって原爆とは
  9. 落書き
  10. 日本語の見出し「この野郎」
  11. 和解に向けて ―ホームス恵子さんの場合
第五章 「イギリス」を考える
  1. 階級制と教育
  2. ダイアナの死
  3. ダイアナの死に階級制度の影
  4. ダイアナの死で変わったもの
  5. 若者が多いイギリスのホームレス
  6. ホームレスが販売する雑誌
  7. ブレアー首相の寄稿
  8. 「人間に戻りたい」と叫ぶ少女の詩
  9. 貧富の差に見る医療制度
  10. 北アイルランド問題
  11. 和平合意のあとに

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第六章 なぜ日本人は差別されるのか
  1. 日本人は国際性が欠如しているのか
  2. ワールドカップの日本人気質
  3. まかり通る「日本人料金」
  4. 侮辱された特攻隊
  5. 沈黙する日本人
第七章 差別されない日本人になるために
  1. 甘えは禁物
  2. 歴史の傷痕
  3. 声をあげよう
  4. 足を地につけて
あとがき

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著者からのメッセージ 〜「あとがき」より抜粋〜


 私は本書に、私という一人の中年の日本人がイギリスで働き生活する中で、
どのような体験をし、何を考えたか、包み隠さずに書いた。
 「イギリスに、日本人に対する人種差別があるか」と聞かれたら、「ある」と答
えるしかない。

 しかし、誤解がないように書いておくが、「イギリス人が、人種差別主義者で
あること」を告発することが、本書の目的では決してない。イギリスには、確か
に異人種ゆえの日本人差別が存在するが、果たして理由は、「異人種で
あること」だけなのか。それがイギリスでの経験の中で私が感じた疑問で
あり、本書で追及したかった主題である。

 1995年の第2次世界大戦後50周年には、イギリス人の対日感情が明確に
悪化した。97年の天皇皇后訪英の時にそれを再確認することとなった。そし
て、98年に元捕虜の訴えに対する東京地裁の判決が出た時も、イギリス人
の日本に対する苛立ちを、私は目のあたりにした。

 イギリスでJAPという言葉が死語でないことからも分かるように、戦争は今
なお、イギリス人の日本人観に濃い影を落としている。当の私たち日本人は、
そのことを一体どの程度認識しているであろうか。すでに過去のものとして、
私たちは一方的に忘れ去ってはいないだろうか。

 「戦争の傷痕は時間が経てば、自然に消滅する」と言う人たちがいるが、こ
れほど甘い考えはない。元捕虜の対日抗議運動が若い世代に受け継がれて
いるように、歴史の事実は、永遠に消えない。私たちが、自分たちの積極的
な意思で、そこに新たな1ページを書き加えるしかない。

 私は本書の中で、「日本人は、自身が揶揄され、侮辱され、差別されている
ことに鈍感である」と指摘している。外国からどう思われているかひどく気にし
ているように見えながら、実は日本人は国際社会の中で、また、歴史の文脈
の中で、自分達の位置を見定めることに熱心ではない。これらのことを総括す
ると、どうしても日本人の「内向き」の姿勢に行き着く。

 私は、そのような日本及び日本人に、本書によって警笛を鳴らしたつもりで
ある。今後、海外に活動する人たちや、外国との関係について考察する人た
ちにとって、本書が少しでも参考になれば幸いである。

      イギリスにて 渡辺幸一



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